TR714 SONY 1959年(昭和34年)



TR714 SONY
1959年(昭和34年)発売,販売価格10800円,外寸 約116×75×35mm,
電源は006Pの9V電池,7石TRラジオ
受信周波数 MW 535〜1605 kHz SW 3.9〜12kHz

当時の広告には「世界一超小型の2バンドポケッタブルソニー」のことばと共に女性の手のひらに乗っている写真が出ていました。当時は短波も受信できてこの大きさは本当に小さかったのだと思います。小さいわりに厚みがあって横型なので,置いた時には大変安定感があり,好きなデザインです。同じSONYのTR−84(昭和34年)やTR−716(昭和35年)のように受信周波数表示板の640kHzと1240kHzにマークがついています。アメリカに向けても輸出された機種だったのでしょう。

使用トランジスタは当時の回路図によると以下の通りです。

周波数変換TR1 -------------- 2T7
第一中間周波増幅TR2 -------- 2T7
第二中間周波増幅TR3 -------- 2T7
低周波増幅TR4&TR5 --------- 2T6
B級プッシュプル増幅TR6&TR7 --- 2T6 ×2


裏ブタはねじ止めではなく,上下二箇所ずつのツメで固定されているだけです。プリント基板の半田面はシールド板で被われています。裏ブタにセロハンテープで貼り付けてある茶色の円板はボリュームの可変抵抗を分解したとき割ってしまった残骸です。新たなプラスチックシートで同じものを作って対応しました。もうひとつのワッシャのようなものはバラした後,どこについていたかわからなくなってしまったものです。
 


シールド板を取ったところと,基板もはずして裏返した部品面です。
 


電池を入れて鳴らして見ると,よく受信し音量も十分なのですが,長く聴いていると高音がキンキンした感じで疲れます。といって低音が出ているわけではありません。小型トランスに小型スピーカーの組み合わせで高音域が相対的に強く感じられるのだと思います。低周波増幅DEPP回路の出力トランス一次側に0.1μFのコンデンサーを図のように(赤で示したコンデンサー)追加して高域をカットすることにしました。ここならば取り付けやすいですし,元にも戻しやすい位置です。ほかはパーツが密集していて入る余地がありません。いかにもSONYらしい作りです。昔のトランジスタラジオの音といった感じですが聴きやすくなった気分です。


 


このラジオもスイッチ付きボリュームのガリがひどい状態です。ばらして接点に接点復活剤を少したらしてみましたがあまり効果がありません。スイッチを入れるごとにガリガリ大きな音がして大変です。イヤホン端子は一つしか無いのでTR−84のようにスイッチをつけることはできません。プラスチックケースは割れや欠けも無くきれいですので傷はつけたくありません。リードスイッチを内部に埋め込んで,外から小さな磁石でON・OFFすることにしました。裏ブタの二つの位置に金属ワッシャを両面テープで貼り付け,上のワッシャに磁石を貼り付けると電源ONとなります。磁石を無くさないようにOFFのときは下のワッシャに貼り付けておくことにしました。
 


これも貴重な一台となりました。




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