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 非営利プロジェクトRadiation-Watch.org の iPhon用放射線センサー「ポケットガイガー(Type1)」と秋月電子のガイガーカウンターキット(GM管D3372使用)をArduinoに接続した。それぞれ,カウント値を変換係数を用いて空間線量率に変換し,μSv/hの単位で表示させると,一般に市販されている簡易放射線測定器とほぼ同等の値を表示させることができたので紹介する。用いた秋月キットは20年くらい前に購入して,現在このタイプは販売されていないが,かなり長期にわたって販売されていたようなのでお持ちの方も多いと思う。東日本大震災に伴う原発事故で放射線への心配が現実のものとなっている。厳密な測定ではないが,Arduinoを利用した安価な放射線計測器として利用できそうである。ポケットガイガー(Type1)は現在(2012年5月)1850円で頒布されている。
 非営利プロジェクトRadiation-Watch.org

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1 ハードウェア構成

Arduino増設ボード上の主要パーツ

 Arduino増設ボード上の小型ブレッドボードには,16文字×2行のLEDバックライト付き小型LCDモジュジュールSD1602HUOB-XA(秋月電子),単電源OPアンプLM358,光センサーとしてCdS,温度センサーLM35DZを載せた。
 増設ボードは,汎用基板にブレッドボードを貼りつけただけのものである。Arduinoとの接続については,ICピッチが半分だけズレた部分があるので,その部分だけラジオペンチで少し曲げてずらすなどの細かい注意が必要である。ArduinoとLCDキャラクタディスプレイの接続については,最後に示したWebPageが参考になる。Arduinoに関するハードウェア・ソフトウェアは,ほとんどインターネット上の検索で情報を得ることが出来た。

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秋月ガイガーカウンターキット

 秋月ガイガーカウンターキット基板は,Arduino増設ボードの横にアクリル板を支柱にして縦に固定した。秋月キットではGM管D3372は1本の使用であるが,2本並列に取り付けて動作させた。キットの標準電源は006P電池の9Vであるが,ここではArduinoボードからの5Vを用いた。裏面に小さなトグルスイッチを取り付け,ポケットガイガー使用時は電源を切れるようにした。

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ポケットガイガー(Type1)

 ポケットガイガー(Type1)は回路基板をFRISKケースに入れて使用することが推奨されているが,今回は電池ボックスも含めてアクリル板を長方形の筒状にしたものに入れた。そのままでは抜け落ちてしまうので,全体をサランラップで包んである。β線シ−ルドには簡易に10円玉を用いた。基板上に載せてアルミホイルで包んだだけである。

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接続端子

 秋月ガイガーカウンターのパルス出力は普通のオーディオ用モノラル端子(写真の黒いカバーのプラグ)を用いた。ポケットガイガー(Type1)の出力はiPhonに接続できる4ピンの接続端子(写真の白いカバーのプラグ)となっているが,使用しているのは2ピンだけである。正規の使用スタイルではないが,一番シンプルな写真のようなモノラルジャックで両方に対応できることに気づいた。

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2 回路

 ポケットガイガー(Type1)と秋月ガイガーカウンター出力のAruduinoに至る回路は次の通りである。アマチュアが手元にある最小のパーツで試行錯誤的に組んだものであることをご理解願いたい。秋月ガイガーカウンターとの接続は単純で,5Vのシンプルな方形波パルスで2SC1815をON・OFFさせるだけである。

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 ポケットガイガー(Type1)との接続は以下の通りである。

ポケットガイガー(Type1)出力波形

 ポケットガイガー(Type1)の出力波形は次のようなものである。PCにUSB接続できる簡易なストレージオシロでトリガーをかけて記録した。いくつか記録したものから小さめと大きめな代表的なパルス波形を載せた。縦軸スケ−ルのの最大最小は±50mVである。信号パルスは数十mV程度のようである。

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変換波形

 ポケットガイガー(Type1)の出力波形から,100倍程度増幅して数V程度のパルスにすれば,秋月ガイガーカウンターと同様に2SC1815をON・OFFできそうだ。最終的にパルス状の信号でトランジスタをON・OFFできればよいのだから,単電源OPアンプLM358で片側だけ約100倍増幅し,コンパレータ出力でON・OFFの出力をつくることにした。コンパレータの比較電圧は波形をみて約0.5Vにした。OPアンプからの最終出力波形は次の画面のようになった。

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Arduinoのプログラミング

 ポケットガイガー(Type1)の場合も秋月ガイガーカウンターの場合も同じ一つのプログラムミングであり,外部割り込み処理でパルスを数えている。違いは変換係数をかえているだけである。CdSに光を当てた状態でArduinoをリセットすれば秋月モード,光を当てないでリセットすればポケットガイガーモードということにした。LCD画面表示は,通常はリセット時からの経過時間と気温の表示とし,放射線のパルスを検知したときに線量率表示に切り替えるようにした。両者の表示はメニューでも切り替えられるようにしてある。メニューの切り替えにおける人とのインターフェースはCdSに光を当てるか当てないかのタイミングで行なっている。ガイガーカウンター機能だけではもったいないので,温度計・電圧計・電流計・バッテリーチェッカー等の機能を持たせたのはこれまでのArduino利用例と同じである。ポケットガイガーモードなのか秋月ガイガーモードなのかはLCD画面左上のPGまたはAKの表示でわかるようにした。

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3 測定例

測定例

 エステーの家庭用放射線測定器「エアカウンター」を借りて測定値を比較してみた。左がポケットガイガー(Type1),右が秋月ガイガーカウンターの場合である。

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参考測定

 ポケットガイガー(Type1)の出力をパソコンのマイク端子を通して取り込み,リアルタイムに線量率表示させるプログラムを組んだ方がおられる。大変うまく出来ている。詳細は次をご覧頂きたい。

 supermab's blog の次のページ
 ポケットガイガーをPCで使う。
 ポケットガイガーをPCで使う(その2)
 ポケットガイガーをPCで使う(その5)

プログラムをダウンロードして実行すると,私の値とほぼ同じような数値を表示している。

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4 参考WebPage

ArduinoとLCDキャラクタディスプレイの接続については,次のWebPageが参考になる。 "Arduino LCDキャラクタディスプレイ"等で検索すれば求める多くの情報が得られる。

Arduino Duemilanove 328 LCDキャラクタディスプレイの接続
Arduino はやみ表
Arduino 日本語リファレンスの中の LiquidCrystal()

増設ボード上の回路については,以前の次のページの回路から必要な部分をとっている。

Arduino + 8×8LEDマトリクスでオシロスコープもどき(1)
Arduino + 8×8LEDマトリクスでオシロスコープもどき(2)
Arduinoと16文字×2行LCDキャラクターディスプレイでオシロスコープもどき

プログラムリストが必要な場合はメールでご連絡下さい。提供します。



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